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2010-11-20

16歳で公認会計士試験合格の危うさ 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その33)

20:39

 

公認会計士試験の合格発表が十五日あり、岐阜市通信制高校二年長谷川智也君(16)が、史上最年少で合格した。

高校は通信制にして、中部学院大大会計プロフェッショナルコースの聴講生になり、専門学校にも通って合格するというのが遊び盛りの高校生にとってどうなのかという議論は別として、その努力は大変なものだったと思われる。

 

他方、最初の感想は「なぜ高校生が受験できるのか」というものであった。

 

国際会計士連盟(IFAC)の国際教育基準(International Education Standards) の1号「Entry Requirements to a Program of Professional Accounting Education」には「For an individual seeking to begin a program of professional accounting education leading to membership of an IFAC member body, the entry requirement should be at least equivalent to that for admission into a recognized university degree program or its equivalent.」とある。すなわち、大学入学資格レベルを持っていなければ、会計士養成のプログラムに参加できないのである。

会計の勉強をする前に、一定の知識を身につけておかなければならないとこの後続いている。

 

上の「プログラム」というのが何を指すのか調べていないのだけれど、私の経験では「受験申し込み」が近いような気がする。

 

私は英国勅許公認会計士協会(ACCA)所属だが、当時(おそらくは今も)英国会計士資格と米国の会計士資格の相互承認が為されていなかった。会計制度の違いも今よりは大きかっただろうが、一番の理由はUS CPAが大学卒を資格の条件としていたのに対し、ACCAは大学卒を条件としていなかったこととされていた。

 

同様なことが日本の会計士資格でも起きようとしている。

 

今後世界の会計基準IFRSに向かう中で、会計士資格の相互承認という話が当然に出てくる。その時に米国は「日本の公認会計士大卒を資格要件にしていないので、相互承認はできません」と言うであろう。逆方向は外圧に押されて承認してしまうのかも知れないけれど。

 

とは言っても、監査証明にサインしなければ問題にならない話であろうし、目くじらを立てるべきではないのかも知れない。

 

ところでこの高校生はこのあとどうするのだろうか。

 

公認会計士になるには実務経験を積まないといけないのだが、試験に合格しても監査法人に就職できない人が大量に出ている中で、高卒監査法人に入れるだろうか。そうすると大学を出てからということになるが、そうすると今から5年後?

その時までに日本の会計基準は大きく変わっている。その間の変化を全てフォローし続けるのだろうか。そうでないならば、16歳で合格はしたが、知識はその当時のままで時代遅れとなっている人間を監査法人が雇うであろうか。

興味深いところである。

 

英米のように、まず監査法人に就職してからその後に公認会計士試験を受験する。但し一発で合格していかない人は辞めていくという制度の方が健全かも知れない。若年合格を目指してしまう人や、試験合格を目指して就職浪人を続ける人を無くすためにも

 

2010-09-28

整理回収機構に1837億円の納付求める 会計検査院

00:03

 

先週土曜の日経の記事。

 

整理回収機構が1999、2000年度の業務で得た利益約1837億円が国庫に納付されていないとして、会計検査院は24日、金融庁に対し、預金保険機構を通じて納付させるよう求めた。

 

ここだけ読むと「おっしゃる通り」なのですけれど、整理回収機構住専勘定は2010/3時点で2900億円の累積損失があります。

これは、住専の二次損失を民間と国で折半にしようと決めたうちの国の損失補填が為されていない分です。

 

その一方で、この部分を銀行に追加で負担させようという動きも日経に出ていました。3月頃だったか。

 

毎日新聞(ネット版)ではさらに以下のように続けているので、一方的に返還を要求する側に無理があるとわかります。

 

金融庁信用機構対応室は「回収機構は現在別の業務で赤字を抱えており、債務超過を避けるため直ちには指摘通りに処理できない。赤字業務が終わる見込みの11年12月以降に国庫返納や預金保険機構で活用するよう、検討したい」としている。

 

2010-09-23

IFRSを勉強するのに英語はいらないでしょう 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その32)

21:34

 

今後国際会計基準の採用に向かって進んでいる中で、英語力が必要となるとあちこちで言われているのだが、本当だろうか。

 

IFRS自体は英語が原文であるが、各国語の翻訳はお墨付きを与えたものについてはそれに従うことが許されており、日本に於いては「IFRS適用に当たっては、我が国の作成者、投資者等がIFRSを理解できることが不可欠であることから、日本語に適切に翻訳され、これが、IFRS(日本語翻訳版)として広く認知されている必要がある。」と企業会計審議会の21年6月30日の中間報告にあり、また日本語版のIFRSはお墨付きを得た訳とのことです。

 

仮に日本語訳が間違っていたとしても、日本で適用されるのはIFRS日本語訳(に沿った J GAAP) であり、英語で原文を読んでオリジナル通りの運用をしたらそちらが間違いとされるのではないでしょうか。

 

英語が仮に必要となるとしたら、それは日本語訳が追いつかない場合で金融庁が先走ってIFRSの新しい基準「指定国際会計基準」として採用してしまう場合ですが、財務諸表の作り手、読み手、監査法人に多大な負担をかけてまでそのような暴挙に出るのでしょうか。(そもそも学生時代に真面目に会計士試験に向けて勉強した会計士は英語を勉強するヒマが無かったので英語が苦手な人が多い)

 

そのうち会計資格予備校英会話学校がタイアップした IFRSを英語で読もうなどという講座が出てくるのではないか危惧しております。

 

会計が分かる人に英語を覚えさせるよりは、英語が分かる人に会計を覚えさせる方が簡単という気もしています。

即戦力と言うことであれば、老体のこの私にもお呼びが掛かるかも知れません。

 

それはそれとして。

 

英語が必要となるのは海外展開している企業の経理部門であり、会計方針の統一、会計システムのグローバル展開などの際に海外子会社経理部門と共通の用語で話が出来て、作業が進められるようにということで英語が必要となるわけです。

 

そりゃあ英語もできた方が良いに決まっていますが、みんながみんな、IFRSの為に英語が必要になるなどといった記事は行き過ぎでしょう。

 

 

 

2010-09-14

IFRSを完全即時適用する日本は大丈夫か - 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その31)

23:58

 

昨日の記事の続きです。

 

「指定国際会計基準」というものを作って、日本で適用する国際会計基準を選択するのかと思ったのですが、どうも即時完全採用という感じです。

 

金融庁が今年の7月29日に、『「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」等の一部を改正する件について』を発表しています。リンクはこちら

 

ここでは、今年の6月30日までに公表された国際会計基準とその解釈指針を指定国際会計基準とするとしています。

 

なんとまあ素早いこと。

 

昨日も書きましたが、EUにおいても即時全面採用するわけではなく、一部採用としたり、採用を見送ったりと言うことが起きている中で、日本はEUを追い抜いてしまいました。

 

そもそも2007年8月の IASBとASBJの「東京合意」は、EUの同等性評価の債を解消することが第一の目標だったわけですが、ここでは相手はEU(すなわちEUの採用したIFRS)であり、IFRS自体ではないことに注意が必要です。

 

EUですら採用していない基準をどんどん採用していく日本は、EUに追いついたと思ったらいつの間にか行き過ぎてしまい、またEUIFRSとの同等性評価ではEquivalentとされなくなるかもしれません(笑)

 

同等性評価をしたCESR はthe Committee of European Securities Regulatorsという欧州の組織であり、IFRS制定母体ではありません。

 

それにしても、金融商品会計など、基準が出てはすぐに修正になったり引っ込められたりしているなかで、何でもかんでも即採用という対応に危険はないでしょうか。

 

それに対応する企業が振り回されるということはないでしょうか。

 

また、IFRSの日本語訳は追いついているのでしょうか。財務諸表を作る人、監査する人、財務諸表を利用する人は、十分に学習する時間があるのでしょうか。

 

日本だけ突っ込んだIFRSの採用をすることで、逆に他の国の企業の財務データとの比較可能性が失われることはないでしょうか。

 

心配になります。

 

2010-09-13

IFRSの強制適用はやらなくても良いでしょ - 時代は国際会計基準 (IFRS)らしい (その30)

20:39

 

今日は午後から休みをもらって、三井情報株式会社の主催した「IFRS研究フォーラム」に参加してきました。

 

IFRS関連の無料のセミナーというと、ITベンダーコンサルによる、全般的な半日セミナーが多い中、今回のIFRS研究フォーラムは、今日が初回の「IFRS1号 初度適用」に始まり、テーマ毎にあと3回開催されます。(と言いつつ、初度適用の復習を全くしてこなかった私。次回は収益認識とリースです。準備します)

 

そのうち日本でも強制適用という風に言われていますが、今日ぼんやりと考えていたのは、「必ずしも日本としてIFRSを強制適用する必要はないのではないか。2015年というターゲットがあるのであれば、そこまでコンバージェンスで導入できたところで打ち止めにすればよいのではないか」ということでした。

 

IFRSというと、「欧州 IFRS vs 米国 US GAAP」という対立で語られることが多いので、私の頭の中でも 「IFRS = 欧州」という図式が出来上がっていたのですが、冷静に考えてみると、IFRSの基準が出されても、EUで承認されなければ欧州での会計基準にはならず、2009/12/31には、IFRSは出ているが承認が終わっていないものもありました。また金融商品などは、EUが一部のみ採用(カーブアウト)しているものもあるらしいです。

こうなると、欧州会計基準IFRSと同じものではないということになります。

 

そうであるならば、日本についても100% IFRSを採用するのではなく、時間の制約、国内市場の制約で出来る範囲でやればよいのではないでしょうか。

 

金融庁によれば「年度の連結財務諸表、または第一四半期の四半期連結財務諸表から指定国際会計基準を適用することができる」ということですが、ここで「指定国際会計基準」とは、「国際会計基準審議会が公表した国際会計基準のうち、公正妥当名会計基準として認められることが見込まれるものを金融庁長官が「指定国際会計基準」として定め、官報公示する」ということらしいです。

 

すなわち、IFRSの他に、欧州会計基準、日本の会計基準などがあるわけです。

 

欧州の2005年問題とそれ以降の作業の中で、J GAAPIFRSと概ね equivalentであるとされ、今後はさらにコンバージェンスが進むわけですから、日本企業欧州上場に障害はなくなります。

 

シンガポールにしろ、香港にしろ、現地基準が IFRS Equivalent であると言っているだけで、IFRSであるとは言っていません。(シンガポールは完全IFRS準拠にするという計画だったような)

 

であるならば、日本も適当なところで止めて、「J GAAPIFRS Equivalentである」と宣言すれば足りるのではないでしょうか。

 

日本の会計基準が無くなってIFRSになるわけではありません。IFRSに近い日本の会計基準が出来るのです。