2007/07/17
■ [メルマガ]003号 「古代への情熱」
![003号 「古代への情熱」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント 003号 「古代への情熱」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント](http://r.hatena.ne.jp/images/popup.gif)
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■はじめに
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みなさん、こんにちは。寅彦と言います。
英語・仏語・伊語ができます。
第3号をお届けします。
このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。
こちらです。
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620
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お薦め度: ★★☆☆☆
30ページちょっと。立ち読みで可。
実行可能度: ★★☆☆☆
完璧に真似するのは難しいでしょうが、パーツパーツは参考になります。
読んで頂きたい方: 古代への情熱がある人。記憶力に自信がある人。
アマゾンはこちらから
http://www.amazon.co.jp/dp/4003342011/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
シュリーマン(1822-1890)
少年時代にトロヤ戦争の物語を絵本で読み、いつかトロヤの遺跡を
発見しようと決意。
長年にわたる猛烈な勉学と経済的苦闘を経て、ついに独力でトロヤの
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「私はあらゆる言語の習得を容易にする一方法を発見した」(25p)
1.非常に多く音読する事
2.?
3.?
4.つねに興味ある対象について作文を書き、これを教師に訂正して
もらう
5.前日訂正されたものを暗記して次の時間に暗唱する
2と3については翻訳本により訳し方が違っています。
以下の本を参考にしました。
それぞれで2と3は以下のように訳されています。
2.
・決して翻訳しない事(A)
・短文を訳す事(B.C.D.)
3.
・毎日一時間をあてる事(A.B.)
・毎日授業を受ける事 (C.D.)
ドイツ語のできる読者の方は原典に当たって、内容を教えて頂けると
うれしいです。
2についてはどちらが正しいか想像がつきませんが、3については、
受けるということが書かれていますので、「毎日授業を受ける」が
正解ではないでしょうか。
であれば、読むとしたらCの新潮文庫となるのかも知れませんね。
Amazon はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4102079017/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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■感想
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外国語学習法の書評になぜシュリーマンがと思われるかも知れませんが、
シュリーマンは遺跡の他に語学習得のコツを発見していたのです。
巻末の略年表を見ると、14カ国語習得したとされています。
「非常に多く音読する」は、文字通り「非常に多く音読する」であり、
彼は英語を学んだ6ヶ月間で、ゴールドスミスの『ウェィクフィールド
の牧師』と、ウォルター・スコットの『アイヴァンホー』を暗記したと
書いています。
Amazon で見ると、2冊で750ページです。
これを6カ月で暗記するには、「毎日一時間をあて」では不十分です。
事実、「過度の興奮のために私はごくわずかしか眠れないので、夜中に
さめているすべての時間を利用して、夕方に読んだことをもう一度
そらでくり返した」(26p)とあります。
Amazon はこちら。
"Vicar of Wakefield" Oliver Goldsmith 208ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/1853267473/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
"Ivanhoe" Sir Walter Scott 544ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/0140436588/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
結局のところ、辞書も、文法書も、言語活動を描写したに過ぎません。
辞書・文法書がまずあって、「はい、これを使って言語活動をしてください」
というわけではありません。
私たちと日本語の関わりを見ても分かります。
しかしながら、シュリーマンが成功したからと言って、第二言語の
習得に辞書も文法書も不要というのは行き過ぎであると考えています。
「赤ちゃんが言葉を覚えるように」というような巷の英会話学校の
宣伝文句のようにはならないと思います。
そうは言っても、シュリーマンの学習法が、赤ちゃんの母語習得の
プロセスに近い事も見て取れます。
24時間言葉のシャワーを受ける赤ちゃんに対して、我々の時間は
余りに少なすぎ、大学までの10年間、英語を勉強したとしても、
実際に英語に触れているのは圧縮すれば海外生活3カ月分くらいだ
という話もあります。
それが10年間に引き延ばされると、学習効果は(短期間集中した時と
比べて)すっかり薄まってしまうでしょう。
母語の習得であれば、周囲の言語活動を観察し、言葉の意味を収集し、
文法規則を発見していく事は可能でしょう。
シュリーマンは(英語で言えば)750ページの本を暗記する事で、そこに
出てくる言葉の意味と文法規則を発見し、身に付けようとしたわけです。
(3)使ってみて周囲の大人に直される。それを覚える。
文法規則などは、観察して身につけるものですから、間違って覚えるかも
知れません。
そこでシュリーマンは実際に作文で使ってみて、教師のチェックを
受けることで軌道修正しています。
これは子供が母語を習得する際に観察して習得したものを使ってみて、
周囲の大人に修正されて覚えていく過程と同じです。
赤ちゃんの母語獲得と大人の第二言語習得は異なるプロセスであり、
よって、大人にとっては辞書や文法書を使う勉強法が「効率的」と
されています。
他方、辞書も文法書も重要な訳語、ルールしか載せていない事を考えると、
その間を埋めるための莫大なインプット、莫大なアウトプット、教師の
チェック等による微調整について、どこかで考える必要があるでしょう。
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■おまけ
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"Paul et Virginie" Jacques-Henri Bernardin de Saint Pierre 377ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/2253007293/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
と
“Les aventures de Télémaque” François de Salignac de La Mothe
Fénelon 478ページ
http://www.amazon.fr/gp/product/2070392589/
の2冊を覚えたそうです。
シュリーマンは「テレマコスの冒険」を使って、フランス語に加えて
ロシア語を学んだわけですが、複数言語に訳されている本を使って
比較しながら覚えていくというアプローチは面白いと思います。
現在イタリア語でハリーポッターを読んでいますが、ハリーポッターでは
テキストを選ぶ時は注意が必要です。
「シュリーマン式外国語学習法」で検索すると何件かヒットしますが、
これを完璧に実施している人は限りなくゼロに近いのではないでしょうか。
http://www.amazon.co.jp/dp/476318170X/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
が、これに近いと思います。
また、ひたすら音読する手法は、國弘正雄先生の只管朗読に通じると
思います。
http://www.amazon.co.jp/dp/4813311849/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
どちらも興味深い本ですので、いずれ取り上げる予定です。
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発行者略歴
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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)
2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠
(英検1級は優秀賞表彰)
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発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)
配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/
─著者ブログ 他─────────────────────────
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『サルバトール・だれ?』(ただのお笑い)
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「莫大な量のインプット、連続して学習」というのは、本当に有効だと思います。
私はDVD『ハリー・ポッター3』を、約8ヶ月間、飽きずに毎日見ていました。(もちろん全部ではありません)1でも2でもなく『3』だったのは、当時最新巻だったからというのもありますが、主人公たちがだんだん成長してきて英語が大人英語に近づき、ニュアンスのある英語(私にとってですが)が聞け興味深かったからです。加えてコックニーやスラングも含め、多様な英語を耳と目(英語字幕)で知ることが出来ました。
本は『ハリー・ポッター6』が中心です。これは『5』(ただいま映画上映中)が恐ろしくつまらなかったので、早く次の本を読みたい一心で英語版を初めて読みました。最初はまったく全然これっぽっちも何が書いてあるのかわからず、結果的に何回も何回も読み返すことになりました。5~6回読むと、不思議に意味がわかってきました。それでもわからない時のみ、辞書を引きました。
この1冊の語彙だけで英検準1級に受かったと思います。
『ベルばら』も然りで、フランス語の旅行会話だけではなく表現の幅を広げたいと思っていた時に見つけ、『ハリー・ポッター6』と同じ読み方で読み進めました。
こちらも半年以上にわたり、毎日毎日読んでいました。
英語もフランス語も決して高いレベルに至っているわけではありませんが、基礎も生活上の必要性も時間も潤沢な費用も記憶力も無い私が自分で願っていた以上の世界を覗けるようになったのは、今から思うとシュリーマンの方法を無意識に受け入れていたからかもしれません。
辞書と文法書の必要感を感じるようになったのは、つい最近です。
膨大な量のインプットで、いつの間にか自分のレベルが上がったかな?という時期を過ぎ、時間が経った現在、忘れていること出来なくなっていることの多さに愕然としています。(おバカだからでしょうが・・・)
文法と辞書的理解は、知識の整理と転用のために必要だと思うようになりました。
アウトプットについては、現在方法を模索中です。
語学をダイエットになぞらえられる寅彦師匠の発想にドキッとした私。
維持することは難しい・・・実感しています。
語学学習においても自分自身についても、ダイエットをしようと決心するより自分に合ったサイズのものを探してしまう自分に、思わず苦笑してしまいます。
「こんな仕事がしたい」とか「こんな服が着たい」という明確な目標があると、アプローチも変わってくるのでしょうが・・・
club_3さん、こんにちは。
長文コメントありがとうございます。
いくつかお返事したいこともありますが、これから登場するメルマガでカバーしている内容もあり、今回はお礼に留めさせて頂きます。
(決算が終わったので私もダイエットを始めます)
寅
「古代への情熱」角川文庫
「古代への情熱」新潮文庫
「シュリーマン」ルートビッヒ 白水社
興味があるので原文で読もうと探してみたけれど
それぞれどの本が原著なのか確信が持てないので
(「古代への情熱」と「シュリーマン」はどうも著者が違うようです)
原著名を書いていただけると嬉しいです。
本の前扉のあたりに書いてあると思います。
Koelschさん、こんにちは。
「古代への情熱」は、シュリーマンの作品です。
リンクはこちら
http://tinylink.com/?g1vaRILqEl
翻訳については、どの版を使っているかが微妙に違います。
岩波文庫は1936年の第二版を使って1954年に出ましたが、その後1955年の第八版を使った改訂版が1976年に出ています。
角川文庫はどの版を利用したかの記載がありません。岩波文庫を参照したとありますが、翻訳が1967年ですので、古い版でしょう。
新潮文庫は1960年の九版を使っているようです。
ルートビッヒは、Emile Ludwig "Schliemann, Geschichte eines Goldsuchers" Paul Zsolnay Verlag, Wien 1932 が原著です。
肝心のシュリーマンの言葉は、「晩年の彼は、それをこう説明している」とだけ書いて引用しており、その出典がどこかについては記載がありません。
Koelschさんに読んでいただいて、ついに謎が解けますね。
よろしくお願いします。
寅
好きなシュリーマンの話が・・ということで、国会図書館に行ったおりに調べてメモしてきました。
2. klein Ubersetzungen macht, (UberのUにウムラウト)
3. taglich eine Stunde nimmt, (tagのaにウムラウト)
まず3.は「毎日授業を受ける」で正解です。辞書のStundeを見ると語義が
【1.「時間」2.「授業時間、レッスン」・・・】
*レッスンを受ける/Stunden nehmen (nimmtはnehmenの三単現)という例文まで出ています。
「毎日一時間をあてる」だなんて(自分が昔読んだのも岩波の村田数之亮訳)別の箇所で「まったく
時間を盗んで勉強したのである」「過度の興奮のため私はほとんど眠れず」とあるのと明らかに矛盾
するから、読んでいて「おかしいな?」と引っかかったのに訳者は気にならなかったのかな?
問題は2.ですが、英語の語順にすると、do(make) little(small) translation, これをどう解釈するか?
ネットでhttp://tomoki.tea-nifty.com/tomokilog/cat1764974/index.htmlという翻訳者のブログ
でも、この学習法の部分の訳を問題にされており(2006.8.26 Autobiography of Heinrich Schlieman)
古い英訳も引用しています。それによると without making a translation,
つまり英訳者はkleinを英語のlittleのように、われわれが中学で叩き込まれたような
「littleにaがつかないときは”ほとんどない”という否定の意味」と解釈しているわけです。
しかし、独和辞典でkleinを引くと、1〜7まである語義に、「不定冠詞がつかなければ否定的ニュアンス」
というのは見当たらず、4に「程度」(ちょっとした、、)とあり、「ちょっとした翻訳」「短文を翻訳」
とした訳者はそっちを採用したのでしょう。(でも、長文は翻訳しないのか?とか突っ込まれそう)
そこで「翻訳はなるべくしない」くらいに取ってはどうでしょうか?
まだ19世紀半ばで、当時の外国語教育はラテン語教育のような「文法訳読方式」オンリーだったから、
それに対するアンチテーゼとして、(西欧語の語順は似ているから)「(単語を辞書でひいて)文の意味
が分かりさえすれば、何もわざわざ全文を自国語に書き直さなくてもいいはず」と主張しているのでは?
それでも語順が英独で違っていて意味がよく分からないような文が出てくれば、翻訳をする、というか
訳を読んで構文を理解する、というのまでは否定してないと思うのですが。