語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007/12/04

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 021号 -

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こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

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■今週の本 「日本人はなぜ英語ができないか」 鈴木孝夫

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買う??: ★★★☆☆

英語/外国語学習法の本を読んでいると、どこかで鈴木孝夫の著作と

ぶつかります。

この本は割りとソフトで良いと思います。

読んで頂きたい方:

日本の英語教育のあり方について考えている方


「日本人はなぜ英語ができないか」 鈴木孝夫

岩波新書 2003.09  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4004306221/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22


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■エッセンス

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1.学習態度の3類型

中国型 自己顕示・自己宣伝

米国型 他社攻撃・折伏制御

日本型 自己改造・社会改革

 

2.言語の性格による分類

目的言語/手段言語/交流言語

 

3.英語の3分類

土着英語/民族英語/国際英語

 

 

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■内容

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第1章「外国語に憧れる日本人」で、外国語に対する日本人特有の不思議な

感情について述べたあと、第2章「何を目的に外国語を学ぶか」では、まず

学習態度の3類型を提示します。

 

当時中国で使われていたロシア語のテキストには肝心のソ連の話はなく、

もっぱら毛沢東語録のロシア語訳だった。外国語を用いて自国について学び、

かつ外国に対して自国を紹介できる語学力を習得しようと言う中国型。

 

ソ連が脅威になればロシア語、日本語が脅威になれば日本語を、相手を分析し

攻撃するために国の政策として学ばせる米国型。

 

自国にないもの、欠けているものを外国から取り入れ、それによって自分の

国を良くしたい、自分自身を向上させたいという社会改革、自己啓発のために

外国語を学ぶ日本型。

 

明治維新の脱亜入欧の国是のもとに自己改造、社会改革の為に英仏独語を

学ぶことを国として推進した日本は、その時点での方策としてはそれが正し

かったが、世界の大国となった今では、中国型、米国型に大きく方針転換

すべきとしています。

 

次に、言語の性格の違いにより、目的言語/手段言語/交流言語の分類を

提示します。

 

その国の人や文化を知るための言語が目的言語、国や文化と言うよりは、

その言語で書かれた情報を取り入れるための言語が手段言語(昔で言えば、

医学のためのドイツ語、法律のためのフランス語など)、最後は相手の母語が

何であるかにかかわらず世界中で交流のために使われる交流言語です(通常は

英語)。

 

国際交流の為の英語を学ぼうとするならば、交流言語としての英語を学ぶ

べきとしています。

 

さらに進んで第3章では英語を土着英語/民族英語/国際英語に分類します。

 

英米豪、NZなどで話されるのが土着英語 (Native English)

インド、フィリピン、ナイジェリアなど、母語としていないが常用され、

かつ独特の民族臭がみられる民族英語 (Ethnic English)

特定の地域に限定されない国際英語

 

第2章にあった交流言語としての英語はこの最後の国際英語であり、我々が

目指すのもこの国際英語であるとしています。

 

「これから出発して他の種類の英語を学ぶ必要を感じた人が、アメリカの

英語なりイギリスの英語を勉強することは比較的やさしいのですが、最初に

英米の英語を目標にしてしまうと、これまでの日本の英語教育の惰性と心理

的な理由で、日本人はそれをマスターすることも、そこから抜け出すことも

容易ではない」(52ページ)

 

書店には「ネイティブの生きたフレーズ」などという本が氾濫していますが、

要注意です。

 

国際英語の世界では、英米人もインド人も日本人も一同に会するわけです

から、そこでは一部地域でしか通用しない『ネイティブ』表現や、文化背景

への知識を要求する表現は、(相手に通じないので)話者も使わなくなるで

しょう。

 

もちろん、これは交流言語としての国際英語を学ぼうとする人の話であり、

目的言語/民族言語としての英語を学んで、ペーパーバックや映画を楽しみ

たいという人にとっては別のアプローチがあるということです。

 

これらを踏まえて著者は、外国語教育改革の為に、以下の提案を行います。

 

1.(手段言語としての役割を終えた)独仏語の学習者数を大幅に減らし、

そのかわり他の必要な外国語科目を新設する

2.この比較的少数になった学習者に、現在の日本が必要とする新しい目標に

向かって、それにふさわしい姿勢と内容をもった教育を授けること。

3.英語の学習を教育のすべての段階で選択制にすることによって、学習者の

総数を絞り、本当に英語の良くできる、今の日本が必要としている新しい

指導者を養成すること。

 

著者は「英語は一部のエリート(候補生)だけがやればよい」という考えの

ようなのですが、今の受験戦争の中ではみんなが結局英語をやることに

なりそうな気がします。

 

第5章以降は、発信型の英語を身に付けるためのアプローチが提示されます。

(上述の通り、英語は選択授業として、優秀な生徒しか受けていないという

前提で)

 

近時、英語の授業がアウトプット重視と言われることがありますが、ここでは

会話を重視すると言うことではなく、日本の良さ、日本(人)としての意見を

世間に発信していくという意味でのアウトプット重視ということです。

 

中学の英語は自己表現練習を中心に、と言いつつも会話力をつける前提と

して読むことも不可欠。

高校では日本事情の発信準備としてジャパンタイムズなどで日本ネタを仕入る。

大学では日本物の英訳を中心とする。

 

また、アルクの「起きてから寝るまで表現550」「高校生の起きてから寝る

まで英語表現」を自己表現練習のための自習書として推薦しています。

 

「起きてから寝るまで英語表現550」 アルク; 新装版 (2004/12)

http://www.amazon.co.jp/dp/4757408374/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

「高校生の起きてから寝るまで英語表現」 アルク (1998/12)

http://www.amazon.co.jp/dp/4872349385/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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■感想

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著者は社会言語学者。

PHP新書から「英語はいらない!?」を出していますが、そちらはかなり過激な

主張で、強いショックを受けたことを覚えています。

本当はそちらの書評を書こうと思っていたのですが、手に取ったのは今回の

「日本人はなぜ英語ができないのか」の方でした。(こちらの方がソフトで

受け入れやすいと思います)

 

英語の時間に、「相手の目を見て話せ」とか「ファーストネームで呼び合う」

とか言われて、「おお、そうか」と言われた通りにするのは国際交流でも文化

交流でもなく、単に日本のやり方を捨てて欧米流に乗っただけのことであり、

文化交流ではなく一方通行の文化直流であるという指摘は耳が痛いです。

 

本書で展開した外国語教育改革論を慶応湘南藤沢キャンパスで試みた内容が、

「[補章]大学語学教育の改革」に書かれています。

 

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■おまけ

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さらに過激に、英語公用語論反対の立場から

「英語はいらない!?」鈴木孝夫 PHP新書 2000/12

http://www.amazon.co.jp/dp/4569613195/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

英語公用語論、賛成の立場からはこちらがお薦め。

「あえて英語公用語論」船橋洋一 文春新書 2000/8

http://www.amazon.co.jp/dp/4166601229/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

こちらはそのうち書評を書きます。

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

来年の手帳は「ほぼ日手帳」にしました。

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( [send email to shibu.tora@gmail.com via gmail] shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

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melmamelma2007/12/31 10:20日本にいる外国人の方の多くは、ファーストネームでではなく、名字にさん付けで呼んでいるような気がします。
 
「相手の目を見て話せ」と教える英語講師が、「ガンを飛ばした」と言われてボコボコにされたりするケースがあったりすると、「(欧米では)相手の目を見て話せ」という指導に変わるかもしれません。

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