語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008/03/11

[]033号 「『達人』の英語学習法」 20:43 033号 「『達人』の英語学習法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 033号 「『達人』の英語学習法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 033号 「『達人』の英語学習法」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

  

ランキング参加中です。こちらもクリックで応援お願いします。

英語学習 ランキング

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 - 033号 -

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今週の本 「『達人』の英語学習法」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

買う??: ★★★★☆

(このメルマガも含め)世の中の多くの外国語学習法に振り回されていると

感じている方には、研究の現場で何が良いとされているかを知ることで、

迷いが吹っ切れるかも知れません。

 

実行可能度: ★★★☆☆

気持ちの持ちようが変わって、学習の姿勢が変わるかも。

 

 

「『達人』の英語学習法」 竹内 理(たけうち おさむ)

草思社 2007.11  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4794216513/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22


 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■エッセンス

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

著者は英語教育学が専門。

 

「日本で生まれ・育ち・学んだ『外国語の達人』の研究や、第二言語習得

研究のデータや理論をもとにして、たとえ留学しなくても、また子どもの

ころから特殊な英語教育を受けていなくても、さらには英語ネイティヴ

話者の親のもとに生まれ落ちていなくても、かなり高いレベルまで英語

(外国語)を習得することができるのだということ、およびその具体的な

方法はどういうものなのか、について明らかにしていきたいと思います」

(11ページ)という前置きにはとても期待してしまいます。

 

達人の勉強法を単に集めただけの本は世の中にいくつも出ていますし、

ある意味このメルマガもその類です。

 

単に集めるだけではなく、それらを分析して成功者の共通点を提示する

本書は画期的なものです。

「私はこうして英語をマスターした」的なタイトルの本97冊を入手し、

そのうちの69冊を分析対象としたとのこと。もはや私のメルマガの役割は

終わったかと思わせるような本です。

 

章立ては以下の通りです。

 

序 達人への道

1 もう手遅れなのだろうか

2 何が関係しているのか

3 達人に見る学習計画

4 達人たちの学び方

5 社会の中での学習法

終 達人たちの学習法のポイント

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■内容

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

序章で「我々の到達点は英語ネイティヴ話者ではなく、日本で学んだ

『英語の達人』である」としています。こうすることで目標が明確になり、

アプローチも決まります。

「ネイティヴの赤ちゃんが英語を覚えるように」などという誘い文句に

惑わされなくなります。

 

第一章はいわゆる臨界期仮説(子どものうちに勉強しないと外国語が身に

つかないという仮説)について書いています。(最初『梨花行き仮説』と

変換されたのには驚きました)

 

著者は、臨界期仮説はあくまで仮説であり、例外があるとします。

いずれにせよ臨界期を超えている我々にとってはどうでも良い議論だと

切り捨てることも可能ではないかと思います。

その方が精神的に健康かも知れません。

 

本書に紹介されている臨界期仮説の研究がいずれも米国に移住した人の

(周りで英語が使われている状況での)英語習得状況についての研究だった

のが気になりました。

(英語が使われていない)日本で英語習得するケースには当てはまらない

のではないかと思いました。

すなわち、仮に臨界期仮説が正しいとしても、日本で学習する場合は英語に

触れる機会が圧倒的に少ないので、そもそも早く初めても(米国への移民の

子どもたちが)出来るようになるのと同じくらいに上手くなることはない

のではないかということです。

 

そのような研究結果が出た方が、早期英語教育の熱も冷めて良いかも

知れません。

 

前著「よりよい外国語学習法を求めて」では、より詳細な研究データが

提示されており、(その国で使われていない)外国語学習における臨界期

仮説の検証研究もあるようです。それがどのくらい日本の状況に合って

いるのかは興味深いです。

 

 

第二章で、「自分は英語ができない」という否定的な「思いこみ」が自信

喪失につながり、意欲・集中力の低下を通して学習の挫折につながると

いうパターンを提示しています。

これを打ち砕くためには、「英語教育学や第二言語習得研究を平易に解説

した書籍を読むなどして、科学的な研究の結果を知ることが良いと思われ

ます」としています。

 

最初に読んだときは、本書を自ら宣伝しているように思えましたが、注では

(以前ご紹介した)「外国語学習に成功する人、しない人」(白井恭弘著 

岩波科学ライブラリー)を挙げていました。

 

 

第三章では、「毎日コツコツと定期的に」と「一定期間集中して」の両方が

必要という点が興味深かったです。

また、学習の成果は直線的には表れず、高原現象を繰り返しながら進むので、

途中で停滞してもそこで止めないことが必要だとします。

 

 

第四章では「人の注意資源は一定である」という考えを持ち出すことで、

私たちの気持ちをスッキリさせてくれます。

 

人の注意力は一定しかないので、例えばスピーキングの練習では、流暢さと

正確性を同時に達成することは出来ないということです。

よって、初期に於いては間違いを気にせずにどんどんしゃべり、その後は

正確性に気を配るという風にシフトしていくのが良いと言うことです。

 

読む・聴くにおいては、精読から多読、精聴から多聴に移るのが良いと

言うことです。

 

 

授業でのトレーニング法としては、第三章のColumn5(80ページ)にある

二人組での「音読ストリーム」、さらに音読の後には第五章のColumn8

(136ページ)にある、「暗写、形式操作、表現練習」が面白かったです。

(あまり内容に触れると本が売れなくなるのでこの辺りで)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■感想

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前著「より良い外国語学習を求めて」も英語学習成功者のパターン分析の

本でしたが、参考文献のページだけで41ページもある論文調の300ページ

の本で、一般読者には読みづらいものでした。

 

本書は前著とかぶる部分が多くありますが、とても読みやすくなっています。

より詳細に知りたい方は、前著をお読みください。

 

前著によると「私はこのようにして●●語を身につけた」タイプの本が

アメリカではほとんど存在しないそうで、その代わり研究者が複数の学習

成功者の記録を集めて分析・比較するというのが主流のようです。

(47ページ)

 

日本でのこの分野での研究が遅れているために、個人の「私はこのように

して」タイプの本がたくさん出版されているのでしょう。

 

今後も本書のような研究の成果が、私たち一般外国語学習者に還元される

ことを期待します。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■おまけ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(ご参考)

前著

「より良い外国語学習法を求めて―外国語学習成功者の研究」 松柏社

(2003/12) 

http://www.amazon.co.jp/dp/4775400525/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

「外国語学習に成功する人、しない人 - 第二言語習得論への招待」 

白井恭弘著 岩波科学ライブラリー (2004/10)

http://www.amazon.co.jp/dp/4000066005/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発行者略歴

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

最近 朝晩お酒を飲んでいます。

養命酒ですけど。

 

─────────────────────────────────

メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( [send email to shibu.tora@gmail.com via gmail] shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

 

『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/

 

──おまけブログ─────────────────────────

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

 

mixi やってます

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=632399

 

─────────────────────────────────

 

─────────────────────────────────

・無断転載はご遠慮ください

・お友達への転送はご遠慮なく

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

トラックバック - http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20080311