語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008/04/08

[]037号 「英語学習7つの誤解」 00:11 037号 「英語学習7つの誤解」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 037号 「英語学習7つの誤解」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 037号 「英語学習7つの誤解」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 037号 -

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このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「英語学習7つの誤解」

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買う??: ★★★☆☆

面白かったです。

が、具体的な勉強法が書かれているわけではありません。

 

読んで頂きたい方:

「しっかりとした英語を身につけたいと思っている方々、そして、将来の

ためにお子さんに英語を身につけさせたいと考えている方々」(「はじめに」

4ページ)

  

「英語学習7つの誤解」 大津由起雄

NHK 生活人新書 2007.08  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4140882298/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

 

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■エッセンス

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以下の7つの誤解を解いてくれる本です。

 

1.英語学習に英文法は不要である

2.英語学習は早く始めるほどよい

3.留学すれば英語は確実に身につく

4.英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である

5.英語はネイティブから習うのが効果的である

6.英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である

7.英語学習には理想的な、万人に通用する科学的方法がある

 

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■内容

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この種の誤解を解こうとする本はいろいろ出ていますが、「母語/外国語」

という切り口ではなく「母語/第二言語/外国語」という分け方を提示して

説明しているところが他とは違います。

 

 

第1話「母語・外国語・第二言語とは何か」が、本書の重要な箇所の一つ

です。

 

例を挙げてざっくりと説明すると、以下のようになります。

 

母語 - 我々にとっての日本語

第二言語 - 我々が例えばアメリカに移住・転勤したとしてそこで学ぶ英語

外国語 - 我々が日本にいて学ぶ英語

 

「なによりも大切なのは、『外国語』の学習を、『母語』や『第二言語』の

獲得と混同してはならないという点です」(29ページ)

 

赤ちゃんが言葉(母語)を学ぶようには我々は言葉(外国語)を学ぶことは

出来ませんし、アメリカに移住して四六時中英語に囲まれ英語無しでは

生活できない人が言葉(第二言語)を学ぶようには、我々は言葉(外国語)を

学ぶことは出来ません。

 

第二言語としての英語はESL (English as a Second Language)、外国語と

しての英語はEFL (English as a Foreign Language)と呼ばれます。

  

 

第2話では文法について、母語であれば無意識に身につけてしまうもの

ですが、外国語であれば意識的に身につけなければならず、そこでの

「学習英文法」は、「英文法の中の基礎的な部分を正確に、しかも、わかり

やすく解説したものでなくてはなりません」(40ページ)としています。

それを受けた第3話は、よい学習英文法の選び方のヒントです。

 

 

第4話は、いわゆる臨界期仮説です。(ある年齢までに身につけられないと、

そのまま身につけられずに終わってしまう)

第二言語にも臨界期はあるらしいとしていますが、そこでは、「学習効率」と

「達成度」は分けて考える必要があるとしています。(73ページ)

これは興味深い切り口だと思いました。

それは例えば、短期間で習得するが、そこで頭打ちになるというような

ケースでしょう。

今後考える際の枠組みとして使いたいと思います。

 

 

第5話は我々に関係する、外国語学習における臨界期の話です。

これについては実験しようとすると倫理的な問題もあり、あるともないとも

科学的には実証されていないとのことです。(82ページ)

 

私個人としては、「外国語学習には臨界期があるから早く始めなければ」では

なく、「外国語学習においては、早く始めても遅く始めても(外国語への

エクスポージャーが少ないので)違いは無い」と思っています。

そうであれば、著者の言うように、外国語学習では文法を意識的に身に

つけなければならないので「文法的説明を理解するための分析能力」を身に

つけた中学生以上で学び始めるのが良いのだと思います。(86ページ)

 

 

第7話では、母語を身につけるときのように、英語のシャワーを浴びる

ことで英語を習得できるかについて論じています。

 

母語の場合、1日10時間英語に触れているとして、3歳までに母語の骨格が

出来るとすると、10時間x 365 日 x 3年 = 10,950 時間。

我々が毎日3時間英語に触れるとして、3,650日(10年)かかることになり

ます。(104ページ)

実際には我々が日本語で身につけている能力を「利用して」英語を学ぶ

部分もあると思いますので、ここまで時間はかからないと思いますが、

それにしてもかなりの時間です。

 

 

第9話は「英語で考える」について、具体的にどういうことなのかが

分かりにくいので

「『英語を使うときに日本語を意識にのぼらせない』と言いかえて英語の

学習の目標とすべきです」(124ページ)としています。

我々が考えるときに、もちろん言葉に引っ張られる部分もあると思いますが、

もしそうであれば、名前が未だ与えられていない新たな発想は生まれて

こないことになります。

英語で考えるのではなく、日本語を使わずに考えるということを目的に

すべきということです。

 

 

第12話は私にとって新鮮な章でした。本書のコアの部分の一つです。

母語の文法は無意識に覚えてしまう一方、外国語を学ぶ際の分析的な

アプローチが必要です。

 

「ことばに対して分析的であることに慣れていないことが、外国語を新たに

学ぶときの障害になっていることが多いのです。『ことばに対して分析的で

ある』とは『ことばを考える対象とし、その仕組みや働きを意識的に捉える

力』ということです」(141ページ)

この力を著者は「ことばへの気づき」と呼んでいます。

 

「ことばに対する感覚が鋭いといわれる人は母語についても意識的に

捉えることができます。しかし、多くの人たちにとって、ことばを意識的に

捉えるには練習が必要です。そして、その練習は、まず、直感がきく母語を

対象に行うのが望ましいのです」(143ページ)

 

母語を利用してどのように練習するかは本書には書かれておらず、著者の

「探検!ことばの世界」(ひつじ書房)を参考書にして欲しいとだけあります。

(面白そうなので注文しました。書評は別途)

http://www.amazon.co.jp/dp/4894762234/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

ひょっとしたら、学生時代に国語文法、古典文法が得意だった人は外国語

学習にもスムーズに入れたのではないでしょうか。(私はそうでした)

また、私自身、外国語を学んだことで自分の日本語がいろいろと変質した

ような気がしています。

このメカニズムが分かれば、まずは日本語を変質させることで外国語習得が

容易になるかもしれません。

 

 

第13話では「達人」たちの学習法を紹介し、最終話で外国語学習の成功の

要因として次の三つを挙げています。

 

1.外国語学習の動機づけ

2.学習した外国語を使用する状況の存在

3.外国語学習の基礎をなす学習文法を効果的に身につけるための

ことばへの気づき

 

 

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■感想&おまけ

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本書はNHKラジオ講座「英会話レッツ・スピーク」のテキストに掲載

されていたものです。

 

「英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である」

「英語はネイティブから習うのが効果的である」というのは誤解であると

言い切ったその同じテキストには、駅前留学の会話学校の広告が出て

いました。

NHKも腹が据わっていると感じました。

  

付録2で、お薦めの英語辞書・英文法書が記載されています。

その中で、「どこの辞書を使っている?」と言う質問に対し、最近の学生は

「カシオのです」などと平気で答えるというくだりがあって、笑わせて

いただきました。

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

最近ベルトが緩くなって、ダイエットの効果が出てきたかと喜んだのですが、

良く見たらいつもより一つ外の穴を使っていました。

   

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

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