語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008/05/13

[]041号 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」  19:48 041号 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」  - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 041号 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」  - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 041号 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」  - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 041号 -

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本日5/13は妻の誕生日です。

 

 

このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」

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買う??: ★★★★☆

私が語学学習書の放浪の旅に出たのは、この本がきっかけだったような

気がします。

多くの魅力的な本が紹介されています。

語学にとどまらず、翻訳、文学に興味のある方、フランス語もやって

らっしゃる方には特にお薦めします。

 

「英語のたくらみ、フランス語のたわむれ」 斎藤兆史・野崎歓

東京大学出版会 2004.07  

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/4130830392/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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■エッセンス

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東大の英語とフランス語の教師が、語学/翻訳/文学について熱く語る

本です。

 

章立ては以下の通りです。

1.外国語の学び方

2.語学はコミュニケーション?教養?

3.翻訳はどのようにしたらよいか

4.翻訳家という仕事

5.文学の体験

6.文学は何の役に立つか

 

先週のメルマガに取り上げようと思ったのですが、語学話ならまあまあ、

翻訳話はかろうじて少し、文学話だとお手上げの私は、一旦見送りました。

 

今回はツッコミどころをピックアップしてお届けします。

 

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■内容

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その1 語学

 

斎藤:「僕が信念のごとく言い続けているのは、書き言葉からしっかり入って

いくべきだと言うこと」「文法から入り、読解をやる。その基礎ができている

人は、それこそ外国にある期間留学すれば、わりあい早いうちにいわゆる

いまの人がいうコミュニケーション能力というんでしょうか、運用能力と

いうのは身につくと思うんですね」(10ページ)

斎藤氏のいつもの主張です。

 

野崎氏が高校時代アンドレ・ブルトンにかぶれて「何としても読みたい。

それを読むことを先決問題としてやっていても、日常会話に降りていく

ことはまあ不可能ではないと」(17ページ)と言うのに対し、斎藤氏は

「降りていく」という表現が気に入ったと言って

「要するに、そこまで志が高い人は、日常会話なんて降りていけばいいだけ

ですよ」(18ページ)と述べます。

 

さらには

「上から見ているから、ああ下がちょっと足りないなというのがわかる

わけで、下にいる人間は上がどこまであるかわからないわけですよ。だから、

いまそういう語学のあり方って批判されているわけです。とにかく日常的に

使えればいいんだという考え方がある」(19ページ)と書きます。

 

この一連のやり取りをこのように切り抜いてくると、「僕たちは外国語できる

(上にいる)人、あなた達はできない(下にいる)人」と言っているように受け

取られるかも知れません。

それは私の引用の仕方のまずさによるものです。

 

3km なら3km 、同じ距離の道を歩く場合でも、通い慣れた道を行くのと、

初めての街を、「本当にこの道で正しいのか、たどり着けるのか」と悩み

ながら行くのとでは、時間・距離の長さの感覚が異なります。(後者の方が

長く感じられます)

 

外国語を一つマスターした人が、二つめをやる場合に簡単だと言われるのは、

(私の英仏伊語のように)近い言語の場合に類推が働いて学習の省力化が

可能だと言うこともありますが、どのようなプロセスを経てどのくらいの

学習量でどこにたどり着けるかが分かっていることで、距離に対する不安が

少ないと言うこともあるのではないでしょうか。

 

距離に対する不安から、目標をことさらに低いところに置いてしまうことも

あるでしょう。

 

もちろん、誰もが翻訳・文学評論レベルまで到達しなければならないという

わけではありませんし、日常会話レベルを目指す外国語学習もあってしかる

べきです。

 

ただ、大学でも「実用英語」を求める声が極めて高まっていることで、

それへの反論としての、研究活動につながる高度の外国語能力を意識して、

このような展開になっているということでしょう。

 

20ページでは齋藤孝氏の説を引用して「たとえば日本語能力が100%ある

人は70%まで外国語能力を持っていけるけれども、50%の人間が50%の七割

外国語を習得するかといったらそうじゃない、やっぱり日本語能力が低ければ

そっちはさらに低いと」と書いています。

 

以前にも書きましたが、このようなコメントは「外国語能力」「日本語能力」を

きちんと定義しないと、そもそも正しいかどうかの議論ができません。

 

野崎「ほんとうに自覚的に英語を探求するということは、それを常に自分の

日本語と照らし合わせることと切り離せないし(以下略)」(53ページ)

英語を英語のまま、日本語を介さずに理解するという「プロセス」は、

運用能力のところで問題になってくるのでしょうが、外国語を学ぼうと

しているその瞬間においては、母語と照らし合わせて吟味していくという

アプローチは必要でしょう。

 

シュリーマンの学習法も、辞書を使わない、文法書を使わないということで、

母語を介さないと言う風にとられていますが、母語で(或いは他の言語で)

理解している馴染みの物語を新しい言語で読んでいく勉強法は、母語と

比較しながら新しい言語の位置を定めていっているように見えます。

 

斎藤「いまは英語一辺倒になっていから、英語で考え、英語で議論することが

あたりまえになってきている。こんなことをやっていたら当然母語能力が

低くなるに決まっているけど、しかし母語能力もそれで高くなるんだと

いう幻想でやっているからね」(63ページ)

 

日本語はみんなできるという前提で始めているが、そうではないと言う

ことです。

ここの部分も、さらに細分化して検討する必要があるでしょう。

語彙や表現が足りないという話なのか、日本語であっても語る内容を

持たないと言う話なのか、ロジカルに読み書きする能力が足りないという

話なのか。

 

その2 翻訳

 

斎藤「どうしても日本語にならない部分があるからこそ他者なのであって、

それを積極的に見ないといけない。特にいい翻訳であればあるほど、そういう

不自然な部分はきちんと残るはずで、それはもっとはっきり評価すべきだと

思いますね」(90ページ)

 

訳がこなれていないのではなく、訳せない部分がある。それは日本に

存在しないモノだったり概念だったり。

 

昔の人は苦心して漢字を当てて、新しい訳語を生み出していったわけですが、

最近はそのままカタカナにして取り込んでいるという批判がされることが

あります。

 

斎藤「日本に伝わってきている『般若心経』は面白い教典で、日本語に

なっている部分と『羯諦羯諦(ぎゃーていぎゃーてい)』なんて、もともとの

音がそのまま漢字に表記されている部分がある」(105ページ)

ここを読むと、漢字を音に当てただけの「新」語が紛れ込んできたのでは

ないかと思われます。

中国語で「カラオケ」に漢字を当てて「卡拉OK」とするようなもので

しょうか。(OKは漢字か?)

そうであれば、カタカナのまま取り込むという態度も今に始まったことでは

ないことになります。

 

上に述べた、「日本語と対比させて」に関連して、大江健三郎の「三角形の場」

という考えが紹介されています。

「私という小説家の作り方」の中で、次のように書いているそうです。

「私にとっては、フランス語を読む――英語を読む――ということは(中略)、

もう一方に日本語での表現を対置してみる、ということにこそ意味がある

のだった。私には、フランス語のテキスト――あるいは英語の――と日本語の

それ、そして自分(の言語)という三角形の場に生きていることが、もっとも

充実した、知的また感情的な経験なのだった」(116ページ)

 

斎藤「明治の作家なんて、ほとんど翻訳を通して、自分たちの文学を

確立していったんですよね。」

野崎(村上春樹について)「三島や大江よりもチャンドラーやフィッツ

ジェラルドの後継者という感じです」(117ページ)

 

野崎「原作のよさと翻訳のよさはやっぱり切り離せないとしか言いようが

ないな」(141ページ)

どちらかがまずいと、良い翻訳作品ができないということです。

東芝のテレビのコマーシャルの画像がきれいだと思って、そのコマーシャルを

見ていたのがシャープのテレビだった場合、どちらのテレビも画像が

素晴らしいと言うことでしょう。

 

 

その3 文学

 

今の私にはツッコミの場所もつかめませんでした。

 

 

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■感想

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実は私は文学部卒なのですが、大学時代は不真面目で、かろうじてやって

いたのは語学だけでした。

文学作品を「読む」というのも、面白かったかそうでなかったかという

表面的な読みしかできず、お恥ずかしい限りです。

 

何年か後に、文学のセクションを読み直して、つっこめるようになって

いると嬉しいです。

 

 

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■おまけ

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今週読んだ他の本

 

「メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法」(長谷川滋利著 幻冬舎)

http://www.amazon.co.jp/dp/4344409167/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

先週のメルマガで、

「イチローや松井だから、ああいう英語で済んでいるのである。彼らには、

野球選手として世界に通用する一流の技術がある。極端な話が、彼らは

英語など器用に話せなくても、バッターボックスに立てさえすれば、それで

仕事ができるのである。つまり、一流の技を持つことで、英語から自由に

なっているのだ」

という引用を「日本人に一番合った英語学習法」(斎藤兆史 詳伝社黄金文庫

2006.03)から行いました。

 

長谷川投手は、メジャーに行く前も、行った後もコツコツと勉強していた

と分かって感動でした。

 

 

「挫折なしで英会話ができる「英語耳」9つの法則」(松澤喜好著 

アスキー新書)

http://www.amazon.co.jp/dp/4756149154/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

この方の「英語耳」のアプローチはとても良さそうだと思っていて、本も

大分前に買って積んであります。

いつの間にかその続編の「単語耳」というのがシリーズで出ているらしいの

ですが、全4巻で結構な値段がするので、「『単語耳』のノウハウが凝縮

されている『理論編』を少しだけアレンジして”独立させた読み物”に仕立て、

より廉価で発売したいと考えました」(11ページ)として出されたのが

この本です。

「単語耳」もそのうち見てみたいと思いますが、この本もとても面白い本だと

思いました。

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

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『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

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