語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008/05/27

[]043号 「英語の学び方」 20:25 043号 「英語の学び方」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 を含むブックマーク はてなブックマーク - 043号 「英語の学び方」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 043号 「英語の学び方」 - 語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 のブックマークコメント

 

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 043号 -

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こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

 

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■今週の本 「英語の学び方」

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買う??: ★★★★☆

アプローチが正反対に見えた二人が、根っこのところでは近いと思えました。

対談ものとして読んでも面白いです。

 

お薦めする方

読み物としては一般向きですが、勉強法は上級者向きです。

 

 

「英語の学び方」 渡部昇一 松本道弘

ワニのNEW新書 1998.05

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■エッセンス

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英語学の第一人者にして日本のオピニオンリーダー渡部昇一氏と、独学で

英語を学びNHKテレビ英語上級講座の講師、アメリカ大使館同時通訳

などを務めた実戦派のチャンピオン松本道弘氏が、みずからの体験をまじえ

ながら「どうすれば英語が上達するのか」をあらゆる角度から徹底的に論じ

合った英語上達の秘訣書。

(Amazonより)

 

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■内容

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第1章 私たちの英語少年時代

 

渡部:(戦時中の勤労動員が終わって)

・英語の入門書を書き写した。

・戦前の受験英語の参考書を書き写した

・文法が面白くなったので、英会話から離れ、英語の先生になろうと決めた

 

松本・渡部共通

・同じ映画を何回も見て英会話を学んだ。対訳シナリオを活用した

 

これは重要

渡部「心がけしだいでは、英語の勉強は母国語との違和感に対する感じを

非常に敏感にしますね」(23ページ)

英語を英語のまま、日本語を介さずに学ぶ場合、訳すという作業を行わない

ことで、2者の間のズレを認識しないで終わる。

このズレから、両者の世界認識の差を知ることができるのに。

と言うことでしょうか。

 

 

第2章 日本人が英語を学ぶということ

 

松本「ハングリーな状態に置かれたほうがいいんです。」(37ページ)

渡部「ぼくなんかも一部そうだけれども、いまの若い人たちとは宮本

武蔵的な気魄のギャップがあるんですね」(38ページ)

ということで、やはりモチベーションが重要ということです。

 

松本「ぼくは、英語の学び方について、こういう発想があるんです。

大ざっぱに分けて、日本人にもゲルマン気質とラテン気質があると思う。

どちらであっても、英語はマスターできない。有段者になるためにはね」

(48ページ)

勉強一辺倒でもなく、会話一辺倒でもなく、両方バランスを取る必要が

あるということです。

これは重要。

私も口べたの引っ込み思案なのですが、外国語になるとおしゃべりに

なります。(そうするように気をつけていたらそうなった)

 

(日英の発想の違いについて学ぶ重要性について)

松本「名古屋の中学の英語の先生が、ブレスレットを買いに行ったら、

ちょっとゆるかったんですね。そこで彼が、A bit loose. と言ったら、

それを聞いて向こうはまたゆるめちゃったんですって。つまり、日本人が

いうのは、『ゆるい、だから締めてほしい』という『締めてほしい』という

結論の部分を、相手に察しさせる。自分ではいわないほうがいいんですね。

ところが、外国人はいわれたことが結論だと思っていますから、また

ゆるめちゃった」

 

この部分については、松本道弘「英語アレルギーの治し方」(ワニのNEW

新書)23ページに類例がでています。

例えば、

「電話が鳴っているよ」を英語にすると、The phone is ringing. ではなく、

Get it. (電話を取ってください)

というようなものです。(これは非常に新鮮でした)

 

 

第3章 こうすれば英語力は倍加する

 

学問を勉強したからといって、週刊誌がスラスラ読めるようになるとは

限らない(113ページ)と悟って、渡部氏は、34/35歳頃に、タイムズや、

タイム/ニューズウィークを読んで単語帳を作って単語を覚えるという

作業をしました。

また、小説を読んでゾクゾクするようにならなければと、40歳近辺では

小説を山のように読んだとのことです。

 

渡部氏は英語を読む根本は、語彙力だと言い、Word Power Made Easy

などのボキャビルの本を使ったトレーニングを推奨します。

これに対して松本氏は、ボキャビルよりも多読によって語彙を増やすべきと

主張するわけですが、渡部氏の説く、土壇場でも役に立つボキャビル

(接頭辞・接尾辞など、語源をベースにしたものと推測します)については、

同意しています。

 

また、渡部「やっぱりわれわれの観念の中で外国人というイメージが

あるから、日本人にはない顔をした人を英語の先生に、わりと早い段階から

持ってくるべきだと思うんだな。そうすると、反射的にそう言う顔を見たら

英語が出る(笑)」(110ページ)とありましたが、学習者側の心理面からは、

これは正しいような気がします。

一部の語学学校で、アジア系アメリカ人や黒人が採用されないケースが

あったと以前聞いたことがありますが、差別というわけではなく、学習

効果を考慮したものかも知れません。

 

 

第4章 受験英語をどう生かすか

 

渡部「受験英語は、正確に読む訓練を短期間につけるのには、実に有効な

方法だとぼくは信じて疑わない」(146ページ)

「ぼくは外国語教育が、単なるコミュニケーションの技術ではなくて、知能

開発ということを考えますので、受験英語はいいと思いますね」「受験英語に

よってのみ、日本人は、いま知的な日本語作文を習っています」(147ページ)

 

松本「文法以外に(国語の時間にやらない)発想とか論理を(英語の時間に)

教えて欲しい」(158ページ。ただし( )内は私が補記しています)

 

しっかり読むという訓練をやっておけば、そのあとの会話は比較的容易だと

私は思います。

また、英語をしっかりやることで、自分の日本語を相対的に見ることができ、

論理的に使えるようになります。

 

さらに、訳することを通じて、外国との発想の違いを学ぶことができる

わけです。

と言いながら、第5章に続く

 

 

第5章 英語と日本語の違いを知る

 

英語と日本語のロジックの違いについて、例をあげて説明しています。

日本語は家の中でしか通用しない「屋内語」(「おい、あれ持ってきて」の類)で、

英語は屋外語という渡部氏の定義は面白いです。

主語がはっきりしない日本の新聞の社説を英訳すると、無理矢理に文の

主語は選ぶわけですが、動作の主体が曖昧なのでモヤモヤとした文章が

出来上がります。

 

ただ、今後は日本語も屋内語から屋外語に変わっていくのではないでしょうか。

自動翻訳が自然言語に対応できないであろうという一方で、自然言語が

自動翻訳を片側で意識しつつ、明瞭な屋外語になっていくならば、自動

翻訳の精度も上がっていくことでしょう。

 

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■感想

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私のお気に入りの二人の対談で、とても面白かったです。

 

それはそれとして、最近コーパスなど、頻度順の単語集を良く見かけます。

思い切り多読・多聴すれば、自然に頻度順に覚えるのではないかと思うの

ですが、どうなのでしょう。

歳を取るとますます単語集で覚えるのがつらくなります。

 

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■おまけ

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本書と合わせて、以下の2冊を読みました。

内容がそれぞれつながっていて、こちらで匿名で書かれている人が、他の

ものでは実名になっているとか、他の本の内容を明示せずに参照している

ケースもありましたので、まとめて読むと面白いと思います。

 

「英語アレルギーの治し方」 松本道弘

ワニのNEW新書 1998.05

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「聞く」に対するアプローチが興味深いです。

また、「英語で日記を書くことが、私自身のスピーキングを助けた」(139

ページ)としている他、Give と Getで有名な松本氏が、「giveやgetを

用いた口語文は質が落ちるので文章ではあまり使うべきでない、という人が

多い。私もそう思う」(149ページ)としているのは、興味深かったです。

 

「英語教育大論争」 平泉渉 渡部昇一

文春文庫 1995.08

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平泉氏は、私と同じ福井県出身。本書での対談の司会の鈴木孝夫氏と同じく、

選ばれた者だけの英語を主張しているので、いつもの私なら平泉氏に肩入れ

するところですが、先日「英文法を撫でる」(渡部昇一著 PHP新書)を

読んで以来の渡部氏ファンの私は、ここでも渡部氏に肩入れして読んで

しまいました。

 

誌上論争、および対談では意見にすれ違いが見られましたが、二人の「語学

学習法」を並べて読むと、歩み寄れる部分はいろいろあったのではないかと

思いました。

 

渡部氏の入学試験の英語のテキストを事前に決めておくという案はとても

良いと思いした。

 

また、平泉氏が「私自身、福井県の山の中でくる日もくる日も、殆ど一日中、

フランス語で『ひとりごと』をいっていたことがある」と言うとき、大学

時代にアルバイトの帰りに家までひとりごとを言っていた自分と重ね

合わせて、平泉氏が身近に感じられました。

 

 

おまけのお薦め

「英文法を撫でる」 渡部昇一

PHP新書 1996.12

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ついでに

「Word Power Made Easy」

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■発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

 

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

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『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

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