語学の虎の巻 [書評]英語・外国語学習法 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008/06/17

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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による

語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法  - 045号 -

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このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。

こちらです。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620

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■今週の本 「英語できますか」

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買う??: ★☆☆☆☆

読む場合は第9章だけで可

 

「英語できますか」 井上一馬

新潮文庫 2003.08   

アマゾンはこちらから

http://www.amazon.co.jp/dp/410118321X/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 


 

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■エッセンス

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・基本構文を覚える

・第一段階で覚えた基本構文に当てはめて使う単語や熟語をリスニングや

リーディングを通じて音で頭の中に蓄える

・スピーキングの練習をして、蓄えた英語を頭の中から引き出す回路を作る

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■内容

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第二章 私と英語

著者は東京外国語大学のフランス科に進学してフランス語を始め、二年間で

ほぼ通常の会話には困らないようになったと書きます。(38ページ)

私は第二外国語でフランス語をとり、一年目は落ちこぼれましたが、

しつこく勉強を続けて四年の時にはかなり話せるようになっていました。

中学高校と6年かけて、細かいレベルまで文法をやる学校英語と、基礎

文法を半年で仕上げて、その後は講読に移る第二外国語。

学校英語も文法は半年分の量のみとすれば良いと思います。

他方、語学習得の研究の難しさは、比較研究が難しいと言うことです。

二年でフランス語の通常の会話に困らなくなったと言っても、「それは中高

6年間の英語の勉強がベースになっているのだよ」と言われると反論が

出来ません。

もう一度子供に戻り、中高の6年間は外国語を一切やらず、大学に入って

初めてフランス語をやった場合に、2年間で同じくらい出来るように

なるのかどうか。

あるいは、これから中学一年になる児童の半分は英語の授業を取り、残りの

半分は一切外国語をやらず、それぞれのグループが大学に入ってフランス語を

2年間学んだ後の習得レベルはどうか。

などといった実験が出来ないのです。

フランス語と英語は、日本語と比べるととても近い言語ですから、英語

学習が役に立っていたことは間違いありません。

(フランスに憧れてフランス科に入ってフランス語を勉強したわけですから、

動機の強さという要因もあるでしょう)


第三章 国際語としての英語を学ぶ

1.学ぶべきなのはアメリカ英語でもイギリス英語でもなく、国際語

としての英語

2.私たち日本人は英語をアメリカ人のようにあるいはイギリス人のように

発音する必要はない

1には同意。但し、そうであるならば教材としてアメリカのテレビドラマを

勧めるのは注意が必要だと思います。

アメリカ文化・文学が専門の著者は気づかないのかも知れませんが、

国際語としての英語を学ぶべきところを土着の英語を覚える可能性が

あります。

2については、何がネイティブの発音かという議論はあると思いますが、

「分かりやすい」発音を目指して努力した結果が日本人式発音に終わると

言うことだと思います。

そもそもインド英語やシンガポール英語のように確立した日本英語という

ものがあるわけではありません。

(もしあったなら相手方は逆に聞き取りやすいでしょう。「日本人英語の

●●という音は、▲▲に置き換えれば良い」というパターンが出来上がり

ますから)

そんな中で、「これが日本人の英語なんだ」と開き直るというのでは、

「相手にメッセージを伝える」というそもそものコミュニケーションの

目的を忘れているわけで、よろしくありません。

しかし、120ページでは、初級会話の練習のところで「この段階をテープを

聞きながらきちんとやることで、完璧ではないものの標準英語に近い発音の

基礎も身につきます」として、やはり発音練習をやるべきとしています。

4.日本の学校英語の問題点

「文法を学ぶことは絶対必要」「それが外国語を学ぶ近道」としながらも、

「初めから文法をぎしぎしやったのでは、生徒はすぐ嫌になってしまいます」

とします。(76ページ)

初めから文法をぎしぎしやるのがだめなのは、生徒が嫌になるからダメなので

あって、嫌にならなければ問題にならないということです。

また、「初級の入門レベルのうちに、千語で英語を運用することをしっかりと

身につけなければなりません」(78ページ)としています。

この辺りは塩谷紘「独りで学べる英会話」とか、松本道弘の英文日記などと

同じです。

リスニングが重要/聞ければ読めるというアプローチは、グレゴリー・

クラーク式ですが、これこそ真面目にぎしぎしやったら大変すぎて生徒は

ついてこないのではないでしょうか。

6の「出直し英語成功法」でも初級会話に300時間、一つのテキストを

徹底的に(著者はアメリカ口語教本の入門と初級)やるべしとするのですが、

これもかなりつらいですね。

さらに7のリスニングの方法のところでは、2万語を覚えようと言います。

テレビドラマなどを録画して分かるようになるまで聞くというやり方は、

最初は楽しいかも知れませんが同じドラマを1~2週間ずっと繰り返して

聞いていて楽しいかどうか。

8のリーディングの方法では、リスニングと平行してリーディングを行い

語彙を増やすこと、「読んだままを訳さずに理解していくいわゆる『直読直解』

というやり方」に近づけていってくださいとあるのですが、どうすれば直読

直解になるのかが書かれていません。

そして9章で、「第6章から前章までの中でその具体的な学習法について

述べてきたわけですが」とあって「どこに?」とびっくりしてしまいます。

しかしこの9章は、著者が序章で「私の言おうとしているのは(とくに

言いたいのは第9章なのですが)」としているだけあり、参考になりました。

著者はシュリーマンの外国語学習法を参考にし、「自分の好きなときに、

自分の話したいことを話す練習」をすることが、「英語を話せるようになる

ための、最大にして最重要の秘訣です」(184ページ)としています。

これはこれで良いと思いますし、「併行して進めるリーディングとリスニングの

助けを借りながら、間違いを訂正したり、文章を整えて」(191ページ)

いくやり方も、独学者には大切なことです。

しかしここでも、「このスピーキングの練習は、あまり早く始めないほうが

いいと思います。リスニングとリーディングをしばらく(半年から一年

ぐらい)やって、頭の中に使える英語と文章がかなりたまってからにした

ほうが良いと思います」(190ページ)と書くのですが、78ページの

「中学一年生から英語を始めるとすれば、二年生までは文法は会話文の

効率的な理解に必要な程度にとどめて、なるべくテキストを使わずに、

あくまでもリスニングとスピーキングを中心に授業を進めていくべき」に

おけるスピーキングとの違いが明らかではありません。

ちなみに、シュリーマンの「古代への情熱」は参考文献リストには

新潮文庫版があがっていますが、本文では新潮文庫と角川文庫の両方が

出ています。

シュリーマンの勉強法の記述から見ると、著者が読んだのは角川文庫ですが、

本書が新潮社から出たことから参考文献に新潮文庫版の「古代への情熱」を

記載したものと思われます。

訳文の違いとシュリーマンの勉強法についての混乱については、メルマガ

第三号をご覧ください。

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070717/1184678987




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■感想

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先週ご紹介した晴山陽一「英語ベストセラー本の研究」(幻冬舎新書)に

紹介されていたので再読しました。(アマゾンはこちら)

http://www.amazon.co.jp/dp/4344980824/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

晴山氏は時代背景にてらして公平に英語本を評価しようとしていたわけですが、

我々一般学習者にとっては、当時の評価よりも今の評価が大切だというのも

事実です。

前回2005年にこれを読んだ時は、「他の本で既に書かれている内容で、

新鮮味がない」とばっさり切り捨てたのですが、「自分がどの本を先に

どの本を後に読むかで、その本の評価が変わってしまう」ことになって

いました。

さすがにそれはまずいだろうと今回再読したわけですが、(新たな発見は

いくつかあったものの)やはり「??」が残る感じでした。

今回はそのモヤモヤ感がどこにあるのかを考えていて、このメルマガも

モヤモヤしたものになってしまいました。(時間もかかりました)

結局のところ、主張が一冊の中で整理されておらず、矛盾しているように

見える箇所があちらこちらにあるということでしょう。

自分がフランス語の時に使った勉強法がすごいと言っておきながら、それを

英語に試したらうまく行かなかったとし、過去の学校英語の影響でそう

なったとするが、それでは読者の多くの学校英語で苦労した人にはこの

勉強法は役に立たないように見えてしまう。

グレゴリー・クラーク式、シュリーマン式などが整理されずに詰め込まれて

いる感じがある。

「楽しくないと」と言いながら結構大変そうな勉強法。

「直読直解」とか「二万語の語彙習得」といいながら、具体的なやり方が

ない。

などなど。

読み直すきっかけとなった晴山陽一「英語ベストセラー本の研究」を読み

直しました。

「井上本は整然としている割に中身は雑然とした印象を受ける」(161ページ)

「井上発言に、飛躍が見られるのも確かである」(167ページ)

おっしゃる通りです。

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■おまけ

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仕事で引き続きバタバタしていて一週お休みになってしまいました。

申し訳ございません。

 

床屋にもまだ行けてません。

髪型もイケてません。


中級者向けの「フランス語・イタリア語勉強会」をネット上で開始しました。

テキストは、フランス語は Passages、イタリア語は Piazza。

どちらも東大出版会のものです。

招待制にしておりますので、ご興味のある方はご連絡ください。

それぞれ10名程度でやりたいと思っています。

サイトはこちら

http://language.so-netsns.jp/

テキストはこちら

フランス語 Passages (CD付) 別途CD無しもあります。

http://www.amazon.co.jp/dp/4130821148/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

イタリア語 Piazza (CD付) 別途CD無しもあります。

http://www.amazon.co.jp/dp/4130821172/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22

 

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発行者略歴

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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)

1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン

 

2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠

(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。

 

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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法

発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)

発 行  : まぐまぐID= 0000238273

配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/

─著者ブログ 他─────────────────────────

『語学の方程式』(語学関連の日々の活動と発見)

http://shibutora.g.hatena.ne.jp/shibutora/

『語学の虎の巻』(当メルマガ バックナンバー他)

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──おまけブログ─────────────────────────

『宝庫』(語学関連以外の日々の発見)

http://d.hatena.ne.jp/shibutora/

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