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2009/12/19

村上春樹とトロンボーンと

13:48

 

先日読んだ「翻訳夜話 (文春新書)」はとても面白かったです。

 

今年は多読の酒井先生の「良い翻訳とは」についての掲示板での議論とか「翻訳学入門」の勉強をしたりとかありましたので、興味深く読みました。

 

面白かったのは村上春樹は自分が小説を書くのに参考になる、自分の力になると思う作家の作品しか翻訳しないという点です。

で、僕がなぜポール・オースターを訳さないかというと、それは僕がポール・オースターから、文学的に・文章的に学ぶところがないからです。(中略) というのは、ポール・オースターは、すごく立派な仕事をしている作家だと思うんだけれども、彼が進んでいこうとする方向と、僕が進んでいこうとしている方向は少し、違うんです。だから、僕はポール・オースターの作品をあえて翻訳しようとは思わないわけ。なぜかというと、僕にとっては翻訳をするというのは、何かを真剣に学びとろうという作業なんですよね。(87ページ)

 

というわけで、村上春樹の文体は外国の小説あるいはその翻訳、あるいは自らの翻訳作業で出来上がってくるわけです。

村上:僕の場合は、日本の作家から小説技法を学んだというのがまったくなかったから、自分で自分の文体というのを作らなくちゃいけなかったわけですね。で、その叩き台になったのが英文の文章だったからね。それにプラスして、ブローティガンとヴォガネットの…プローティガンを訳した人は誰だっけ。

柴田:藤本和子さん。

村上:藤本さんの訳のブローティガンとか、あとはヴォネガットの訳は飛田茂雄さんとか。

柴田:朝倉久志さんとかね。

村上:うん、そういうのが一種の定型になって、それから自分自身で英語で読んだ本というのがあって、そういうのがグシャグシャに混じっているから。(219ページ)

 

 

古典の文章を何度も自分で書いて文章をうまくするということを昔の人はやったらしいですが、最近の小説家志望の方もやってらっしゃるのでしょうか。

平野啓一郎は「本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)」の中で「私は、良いと言われることは何でもやってみるほうだから、この方法も試してみたが、すぐに、これはダメだ、と止めてしまった」(85ページ)と書いていますが。

 

村上春樹が翻訳文学、あるいは翻訳の行為を通して文体を作っていった結果、今度はその文章を外国語に訳す時に自然な文章になりやすいという効果があったのではないでしょうか。それが海外での村上春樹作品のヒットにつながっているのではないかと思います。

 

というわけで、本棚に眠っていた「La Fin Des Temps」(フランス語 原題「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」)を読み始めたわけです。

これはブックオフで500円で購入したもの。これ以外にも村上春樹はまだまだ本棚に眠っていますので、しばらくは楽しめそうです。

Dance Dance Dance (イタリア語 紀伊国屋セール700円)

Le passage de la nuit (フランス語 紀伊国屋セール1,300円 原題「アフターダーク」)

Blind Willow, Sleeping Woman (英語 紀伊国屋セール 400円)

La ballade de l'impossible (フランス語 国際ブックフェアセール 1000円 原題「ノルウェイの森」)

Wilde Schafsjagd (ドイツ語 紀伊国屋セール 1,300円 原題「羊をめぐる冒険」)

最後のものはドイツ語を勉強するところから始めないといけないのですが。

 

と言うわけで、La fin des tempsです。

 

併行して読んでいる「フラジャイル 弱さからの出発 (ちくま学芸文庫)」のトワイライト・シーンの章で黄昏文学について書かれていたところだったので、crépusculeという単語がたくさん出てくる本書に巡り合わせのようなものを感じたわけですが。

 

ここに trombone という単語が出てくるのですが、最初は「机の上の trombone を手にとって」とか言われても何のことやら分かりませんでした。どうしてオフィスの机の上にトロンボーンがあるのやらと。

 

調べてみたら、どうやらクリップのようです。

 

ゼムクリップという種類でしょうか。確かに形がトロンボーンに似ています。

 

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